BMS Agency

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最近(2020年)のBMS界を気ままに追っかけます

過去の無名戦プレイバック(第7回~第11回 篇)【無名戦17直前スペシャル】

"未来のスター発掘イベント"

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◆ 無名戦とは

自称無名BMS作家が物申す!無名戦)」とは有名作家・ベテラン作家は参加できない無名作家限定のBMSイベントです。今年で第17回目の開催となりました。

 

イベントの発足・詳細はmihoclapというブログで非常に詳しく解説されているため、下記の記事を参照して頂けると幸いです。

 

bmsmiho.cocolog-nifty.com

 

上の記事をめちゃくちゃ簡単にまとめると、あのBOFシリーズ優勝者のsasakure.UKさん・tarolaboさん・トランスbmsのレジェンドsyattenさんなどの大御所もかつての無名戦出身であり、無名戦はすごいという話です。

 

この記事では、第一回無名戦(2002)第六回無名戦(2007)の特集を行っていたmihoclap記事の続きとして、より近年の第七回無名戦(2010)第11回無名戦(2014)について振り返ります。

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◆ 過去の無名戦プレイバック (2010 ~ 2014)

なお複数の代の無名戦に連続で参加(留年)している方は、初登場の代を優先させました。

 

BMS Searchを駆使して作家の過去作品について調べましたが、もし情報に誤りがあったり当時の無名戦に関して詳しいお話をご存じの方はブログコメントから教えていただきたいです(-人-)

 

 

● 第七回無名戦(2010.05)

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第六回(2007年開催)以降、主催が不在となりしばらく開催されなかった無名戦ですが、2010年にwosdergeさん主導で復活となりました。

久々の無名戦ですが登録作品数は49と多く、需要の高さが伺えます。スコアTOP3は以下の通りです。

なお一位のインプレ数は60で、歴代無名戦の最多インプレ数を更新。

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優勝は先月のGdbGライブでDJとしても活躍していたcybermisoさんでした。

無名戦終了後のBOF2010から今に至るまでの十年間でBOFシリーズを皆勤しており、その作品すべてが上位30%に食い込むという安定した高い実力・カリスマ性を持っております。

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2位は近年EUROBEAT作家としての勢いが止まらないnmkさんで、SDVXに楽曲提供も行うほどの実力者です。最近は音ゲーに留まらずiTunes・Sporifyなど各種音楽サービスでも楽曲配信を行っている模様。

3位のDJ TAKUANさんは2011年に活動停止となっていましたが、2017年に突如復活。最近では自前のBGAを引っ提げ、BMSイベントに定期参加する精力的な活動を行っております。

 

こうして見ると、10年前の無名戦TOP3が今もなお活躍されているのは非常に珍しく、大変喜ばしいことだと感じます。

 

他の出場者で後に活躍されている方は以下の通りです。

(BOFU40位・中小イベント10位・主催経験などを目安に列挙。A-1 を除く作品数15以下のイベント実績は除外しました。)

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やはり10年前のイベントなだけあって、RasさんやETIA.さん、Limeさんなど現在のBOFのエース作家が揃っており上から下まで非常に豪華です。こうして見ると、無名戦8は新世代における黄金世代だったと言えるかもしれません。

 

しかし一方で、当時は明確な参加条件は無くて無名・有名の線引きは主催の判断で決められていたため「本当に無名・・・?」と疑問を持たれる事案が発生。それらについてはmihoclapにて考察されています。以下は考察記事の引用です。

それらの情勢の比較のため、出場作者を以下の4区分に独断で分け、
[新人作家] [駆け出し作家(キャリア数作程度or作者歴1年以内)] [常連・ベテラン作家] [海外作家]
各区分の作者がどの程度の成績を残したか検証してみました。

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引用元:mihoclap

“第七回自称無名BMS作家が物申す!” 回顧

完全新人よりもベテランが活躍するという点は、無名戦というよりはA-1 ClimaXらしさがあります(2010年はA-1 ClimaXシリーズが開催されていなかったので、A-1の参加者層が無名戦に流れるのは当然の結果かもしれませんが・・・)

ちなみに、「お前は無名じゃないだろ」とインプレで書かれた作家は以下のとおりでした。

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名前が挙がった作家さんを見る限り、実績だけでは必ずしもくくれないようで、
有名/無名の判断は非常に複雑で難しいものだと改めて感じました。

 

引用元:mihoclap

“第七回自称無名BMS作家が物申す!” 回顧

これらを踏まえ、以降の無名戦ではA-1シリーズとの棲み分けを目指して新人戦としての色が強くなっていきます。

 

 

● 第八回無名戦(2011.05)

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第七回終了後、『次の主催は誰か・・・』は特に決まってはなかったのですが、前回優勝者のcybermisoさんが立ち上がり、年1回開催スタイルの無名戦が始まりました。

点数幅も0-3ptsから1-5ptsへと変更され、新人作家を応援するためのIKnowシステムなども登場し、現在の無名戦とルール・目的が同じに。

新人作家のイベントという方向へ舵を切った結果、登録作品数は前年の1.5倍である76作品に。実は当時から新人限定イベントの需要が非常に高かったことが確認できます。

TOP3作品は以下の通りです。

優勝者のLimeさんに集まったインプレ数は87で、歴代最大インプレ数を大幅更新しました。

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Limeさんが無名戦7から再挑戦して優勝を獲得。BMS初制作からわずか1年で飛躍的に成長し、無名戦終了後もその勢いは止まりませんでした。どんなジャンルで曲を作っても強いですが、最近はKawaiicore作家としてSoundcloud等で絶大な支持を獲得しております。

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2位はDTXManiaからの刺客、taqumiさんです。DTXで培った高いDTM力を武器に安定したBMS作品を数多く生み出しています。しばらくBMS公開はありませんでしたが、今年の東方音弾遊戯9にて久々の登場。衰えることを知らないクオリティの高さを示しました。

3位のめnちさんも同様にDTXからの刺客です。作風は童謡の可愛さホラーをミックスする稀有な作家であり、今後のご活躍が期待されました…が残念ながら現在は作家活動を行ってないようです。代わりに現在は日本全国の水族館を巡るブログ…!?を運営しており、それらの関係でメディア露出も行うという規格外の活躍をしております。

 

他の参加者をピックアップすると、以下のようになりました。

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やはり真っ先に目が行くのはLeaFさんでしょうか。BOFU2016の優勝だけに留まらずBOFU2017のもぺもぺが与えたインパクトは凄まじく、音ゲーをやらない層にまで大流行しました。さらに、勢い余って太鼓の達人にも楽曲収録されました。

他にもBOFXVPABAT!2020にも参加していた、今が旬のエース級作家P4kooさん・qfeileadhさんは無名戦8が初登場でした。

 

全体的に作家としてそうそうたる顔ぶれではありますが、イベント主催・イベント会場設置など幅広い活躍を行っているq/stolさん・Telno(Bluvel)さんも無名戦8出身であり、運営や裏方としての人材も充実しています。

 

これらを踏まえると、近年(2010年以降を指す)の無名戦の中で最も財産となった代は「無名戦8」ではないかと私は考えます。特にイベント会場設置というのは非常に大変であり、それらを年単位で続けるというのはなかなか真似できる行為ではありません。そんな功績者が二人も在籍しているのは素晴らしいと思います。

 

こういった方々には最大限の敬意を払い、ご厚意を無下にしないようイベントを盛り上げていきたいですね。

 

 

● 第九回無名戦(2012.06)

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毎年恒例イベントとして定着してきた無名戦。主催は前回無名戦優勝者が行う流れも定着してきました。この時は勝者のLimeさんだけでなく、無名戦8参加者のazuさんと共同でイベントが行われました。

そして新人戦の需要は留まることなく、71もの作品が集まりました。

 

TOP3は以下の通りです。

また今回、LeaFさんのIが歴代最高インプレ数90票を獲得。

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1位はイベント優勝作品としては珍しい、ゆったり系ハウスポップのSkylandingでした。cromoさんは無名戦優勝後の発表作品が少ないものの個性が強く、ひとたび作品を出せばあまりの素晴らしさに周りがザワつくほどの魅力を持っております。そんなcromoさんは2014年以降沈黙が続いておりましたが、昨年のBOFXVで突如新作を公開。嬉しいサプライズでした。

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2位のrilymさんも凄い方でしたが、BOF2013以降姿を見かけることが無くて残念です。

3位のLeaFさんは後の「Aleph-0」に繋がる狂気作品『I』を発表。のちの作風が決まる重要な作品となりました。

 

アベレージ優勝は総合4位だったくるぶっこちゃんさんの"alive"でした。今回特集した無名戦7-11の中で、唯一優勝作品以外がアベレージ1位となった例です。BMS活動は2016年を以てしばらく停止状態ですが、商業音ゲーにいくつか楽曲提供を行っており活躍の幅が広がっております。

 

TOP3以外の活躍している作家は以下の通りです。

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BOFU2017優勝したpolycube(Silentroom)さんや、BOFU2016以降めざましい活躍を見せるMr.トランスDachsさんなど、ここ4,5年で大活躍した大物作家が集結しました。無名戦参加地点でのクオリティ、その後の活躍も考えて非常に良い年だったと感じます。

 

ただ別の側面から見ると、無名戦9は無名戦7,8から連続で参加する留年者が多く、71人中13人と歴代最多です。新人戦…という意味では少々疑問の残る年でした。

 


無名戦が毎年恒例となったことで、納得いくまで無名戦に連続参加する人の増加というあまりよろしくない流れが徐々に現れ始めます。 

この影響か分かりませんが、後の無名戦11ではIKnow率による減点制度が導入されました。(無名戦10には採用されていない)

 

 

● 第10回無名戦(2013.06)

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記念すべき第10回目の無名戦。充実した特設ページからは気合が感じられます。

主催はcromoさんとt-soachさん。

ルールは昨年と同様で、作品総数は72でした。

 

TOP3作品は以下の通り。

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優勝したのはMSIさん。BMS作者では数少ないエレキギターの奏者で、その重厚な生音と難解なプログレ編成は強い存在感を放っておりました。しかし露出が少なく、現在も音楽活動を行っているのかは不明です。

2位はUjico*(Snail's House)さん。BMS作家期間は1年と短命でしたが、BMS活動を辞めてからの活躍ぶりは非凡極まりなく、Kawaii Future Bassの生みの親として世界中に名が知られました。Soundcloudのフォロワー数は15万人Youtubeチャンネル登録者84万人という規格外の化け物コンポーザーです。おそらく最近の無名戦参加者で最も出世した方と言ってもおかしくはないでしょう。

3位は当時インプレイヤーとして活動していたtchebさん。卓越したメロディ力に定評があり、インプレから伝わる音楽力を武器に現在も高い評価を安定して獲得しています。

 

TOP3以下ピックアップは以下の通りです。

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イベント優勝者で言うと、寡作ながらも無名戦以降の作品は全部ヒットしたChitoseさんや、A-1 勝者のLimstellaさん、ネタ譜面のやべーやつo.s.gateさんが在籍。
他にも、年単位での全曲インプレやイベント主催を精力的に行って大きく貢献したasahi3さんやBHT・癖BMSパッケージ主催のuetさんも在籍しており、無名戦10は実績も強くタレント豊かな世代という印象を持ちました。

 

 

● 第11回無名戦(2014.07)

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もはや定番イベントと化した無名戦は、毎年安定したインプレを貰える人気イベントのひとつに。主催はMSIさんが前任で後にpolyshaさんが引き継ぎました。

作品数は例年より少しだけ落ち着いて49作品。今回はIKnow率が高ければ高いほど減点される新人優遇制度が新たに導入されました。TOP3は以下の通りです。

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1位は黄泉路テヂーモさん。お洒落なコードと卓出した音選びで強烈な個性を発揮しました。作品数は通算4作品と非常に少ないものの、出せばヒット確実という奇矯な天才ぶりを発揮してBOFU2017では表彰台一歩手前まで上り詰めました。

2位は名サークル"ああ…翡翠茶漬け…"の一員である翡乃イスカさん。近年のハピコアBMSの金字塔とも呼べるほどハッピーな曲に定評があり、2020年現在も進化を続ける名コンポーザーです。

3位はアクジさん。イスカさんと同様にジャンル特化型作家として「たのしいガバキック」を伝播させました。現在もGABBAを作り続ける一貫した姿勢からは、ジャンルに対する強い愛を感じられます。

 

TOP3以下はこんな感じです。

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今回特集した無名戦の中では一番最近(2014年)ということもあり、BMSイベントのタイトルホルダーがおらずやや小粒な印象を持ちますが、出世している人は着々と出世しております。
たとえば商業音ゲーする実力を持つElkeiさん・daphさんや、4年間連続開催の『BMSをいっぱい作るパッケージ』主催のRe:gats&さんとtanacoroさんなどなど、各々が様々な方向で強さを発揮しております。

現在もBMS作家として活動している方も少なくないため、今後この代から未来のイベント優勝者が登場するかも・・・!

(誰がそうなるか予想すると面白いかもしれません。私は最近勢いが止まらないNakaiankowさんを推しておきます。)

 

 

 

 

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いかがでしたか?

2010-2014の無名戦参加者だけでも、いかに現在活躍されている作家が多かったかをこの記事で感じてもらえれば嬉しく思います。

 

当たり前ですが、毎年の無名戦開催時は誰が将来ビッグになるかなんて誰も予想できません。もしかしたら無名戦参加直後に作家活動を引退する方もいるかもしれないし、まだまだ未熟で下位の作家が将来大爆発してエース作家になるかもしれない。そういった予想外な結果が起こりうるのが無名戦の面白さだと思います。

 

「無名戦に参加するのは敷居が高い!」と感じている作家は現地点での実力を気にしすぎかもしれません。実力なんて何でもいいからとりあえず目の前の無名戦に参加して、もし結果が予想以上に悪かったとしても「将来的には自分がこの代で一番出世してやるし・・・!」という秘かな野望を燃やしていた方がお尻に火がついてモチベーションが上がるかもしれませんよ。

 

 

なお無名戦開催前に無名戦12(2015)-無名戦15(2018)プレイバック記事の作成も行う予定でしたが、今回の記事で予想外に時間が掛かってしまったため間に合いませんでしたm(_ _)m。

無名戦&A-1開催後にはなりますが投稿する(かもしれない)ので、気長に待ってもらえれば幸いです・・

 

 

明日からいよいよ無名戦17登録期間が開始となります。

今年の無名戦も人数が多いということで、楽しみになってまいりました。

今年はどんな作家が参入してくるのでしょうか?少しでもBMSに興味を持つ新規勢が増えれば幸いです。

 

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