無名戦17 -閉幕- [ #無名戦17 ]
登録 : 2020年06月01日(月)~2020年06月07日(日)
評価 : 2020年06月08日(月)~2020年07月05日(日)
主催 : tolz
MF3・WORLD WARの都合で更新が遅れておりましたが、今更ながら・・・
今年の無名戦の振り返り記事です。
初代無名戦(2002.07.10)開催から18年が経ち・・・
あれから時を経て2020年、今もなお無名戦は続いております。
今年はなんと、第17回目の開催となりました。作品数は総69作。盛り上がりを見せておりました。
今回はそんな無名戦17(第17回自称無名BMS作家が物申す!)を振り返りたいと思います。
◆ イベント作品TOP10
〇 Total部門
優勝はFutamiさんのGimme All The Cocaineでした。おめでとうございます!
音ゲー用に落とし込まれた展開とおもしろBGAの相乗効果で、中毒服用者が続出した作品です。
初登場、ジャンルはダークサイケという条件のもとで優勝したのですから、相当のポテンシャルがあったのではないかと思われます。
なおFutamiさんは、昨年の無名戦16で2位だったDrumatic Sequencerさんのサークルの後輩にあたります。今年は先輩の雪辱を果たし、優勝を勝ち取ったのですから面白いですよね。これはもしかしたら、同サークルから毎年無名戦に入賞者が出てくるのではないでしょうか・・・!?
2位はK4Y5(けいず)さんのThrill Triggerでした。2年間の準備期間のもとで発表されたこの大作は、本気で勝ちを狙いに行く情熱を感じました。
今回惜しくも2位でしたが、それでも156インプレという歴代2位の票数をマーク。次は王座を勝ち取ることを祈ります。改めて準優勝おめでとうございます。
3位はparaneumannさんのWeaponhumanでした。初登場ながらも、曲動画譜面全てを自作で強いというマルチクリエイターぶりを発揮し、多くの方々を唸らせました。
全て1人で受け持つというのは、単純な作業量が2倍以上となってしまうのでその負担は計り知れません。無理のない範囲で今後も期待しております。改めて、3位お疲れ様でした。
なお、今回はTOP10に入った方は全て100インプレオーバーでした。えっと、ここはBOF会場でしたっけ?
〇 Average部門
アベレージ優勝を制覇したのは、トータルTOP5外からの躍進を決めた、
Mr.Faineさんの夢と現でした。おめでとうございます!
総得点優勝とアベレージ優勝で作品が分かれるのは、実に3年ぶり(無名戦14)でした。
無名戦上位作品の中では珍しくBPMは遅め(103)でしたが、楽曲に散りばめられた表現力が随一の作品であり、個人的優勝の声も多かった作品です。
魑魅魍魎の無名戦17でアベレージ優勝したことは、大いに誇れることでしょう。
他のアベレージTOP10は総得点ランキングと大差ないのですが、10位にはJeipoujuさんのShadowland Cityscapeが総得点25位から急上昇。LNの楽しさを意識された楽曲で、実力の高さを示しました。
全曲の詳しいランキングは公式総評に掲載されているため、ここでは割愛させていただきます。
◆ インプレ状況
インプレの各集計データは以下のサイト・ブログから引用させていただきました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
・数字で振り返る無名戦17 & A-1 10th - Entenoblog’s diary
・無名戦17&A-1 10thを統計データから振り返る - motsの雑記帳
・https://colab.research.google.com/drive/1XTfh3frX5F_2euVS6EevmEFcOXIfP4iG?usp=sharing
以下の集計は、無名戦17とA-1 ClimaX 10thと個別に集計しているので予めご了承ください。
〇 順位変動
大会期間中の順位変動です。TOP10まで載せました。
※全日程の順位変動はmotsさんの記事をご確認ください。
こうして見ると、今回はFutamiさんが序盤から圧勝でしたね。
また2位は途中までお団子状態でしたが、終盤でK4Y5さんが引き離しました。
3位・4位はparaneumannさんとutzboさんの指定席でしたが、5位以下は最後まで読めず、最後の5位~9位は1票で順位がひっくり返るほどに僅差だったのが確認できます。
〇 インプレイヤー一覧
インプレイヤー一覧は以下の通りです(別名義は別人としてカウント)
今回の無名戦は総266名がインプレを行い、大盛況でした。
ちょうどおうち時間の時期と被ったことも票数増加の追い風となりました。
そして、全曲インプレを達成した方は以下の51名でした(敬称略)。
⑮ 38k 69 de 74 Black Chicala Lpis CYLTIE. Deadline Hater E-MAN Edvard.S Eltsopa Ente Exsy hard kei_iwata Khibine kooridori kunzite last LT LUXURY♪ mots N-Driver nekomimi_STRaw paraneumann Phleguratone qfeileadh Rb_Drache saaa satie sera Setca. STANK! Sterrite syuuroku tcheb tolz used_tami utzbo xyst Zymei あとぅす いんのぐれのすけ おさとう くるやのぶ ザラエル でぱみぃ ひむかいクロロ みーに 屋敷蔵人 吟世かいな 池田哲次
お疲れ様でした!(^-^)//""パチパチパチ~
これだけでも既に多い印象ですが、今回はあと1つで全曲インプレを達成できた方が追加で13名います。これらのプレイヤーの票だけで、既に1作品あたり64個のインプレがつきます。こんなにフィードバックが貰えるのも、作家としては嬉しい機会だと思います。改めて、数多くの作品へのインプレをありがとうございました。
〇 全曲インプレした人が選ぶTOP10
全インプレを達成した方の票のみによるランキングは、以下の通りです。
(作家のインプレもあるため、公平にするためにアベレージで比較しました)
ここでもMr.Faineさんの夢と現が強さを見せました。また、全体的に総合順位(アベレージ)とほぼ大差ないですが、定空間(ていくま)さんが5位に、Jeipoujuさんが9位に浮上しました。
〇 長文インプレイヤー一覧
今回の無名戦では、インプレの合計文字数が10000文字以上となった方が13名もいました。作品数が多く、どうしても1作品ごとのインプレが簡素になりがちな中で、こんなに熱意のこもった投票をする方々が・・・!と胸が熱くなりました。
改めて長文インプレお疲れ様でした。
Blackさん、portionさんがイベント内で約30000文字のインプレを投稿しました。これは、この無名戦振り返り記事4つ分(約28000文字)に相当します・・・!これは流石に取り上げないわけにはいかないですよね。長文投稿、大変お疲れ様でした。
また、個別の長文インプレ部門1位はBBBBさんの2480文字でした。
(該当作品はNo.79 ARC DiSCHARGeR - hard)
作品についてこんなに語ってもらえるのも、とても嬉しいですね・・・!
インプレ投稿お疲れ様でした。
また、個別のインプレ文字数のランキングは以下の通りです。
TOP10の中にportionさんが5インプレ該当しました。無名戦に限らず、直近のイベントで何度も長文インプレを行って下さり、誠にありがとうございます。
◆ 無名戦いろいろ
〇 歴代無名戦との比較
歴代の無名戦と平均インプレ数を比較した結果は以下の通りです。
近年の無名戦は平均インプレ数が増加傾向にあります。今年はなんと平均インプレ数95.07票。ほぼ100票というとんでもない数字を叩き出し、歴代BMSイベントでも最多の平均インプレ数です。
今年は様々な要因が重なったこともありますが、恐らく今後この最多記録は超えられないのではないかと思います。そんな今年の無名戦に関わることができた方は幸運とも言えるでしょう。
また平均IKnow率は、例年より少しだけ高い傾向にありました。今回はIKnow率40%オーバーが3名もいたため、数値が上に引っ張られてしまったようです。
(参考までに、昨年の無名戦16のIKnow率1位の数値は39.8%であり、40%を下回っていました)
〇 ReadMe文字数ランキング
無名戦17開催期間中に、ある参加者が言いました。
「ReadMeの文字数部門なら、1位の自信ある」
どなたの発言だったかは忘れてしまいましたが、せっかくなのでReadMeの文字数ランキングを作成してみました。
結果は以下の通りです(スペース込み)。
ということで圧倒的な文字数で1位となったのは、motsさんの10358文字でした。おめでとうございます(?)
motsさんのReadmeは上図のように「目次」つきの長文であり、まるでブログの1記事のように濃密な内容となっております。
さらにEnglishバージョンのReadmeも同梱してあり、そちらの文字数は…なんと約20000文字となっております。作品のテーマや製作の経緯など非常に細かく記載されていますので、多くのプレイヤーにとって興味深い内容となっております。時間のある方はぜひご一読してみてください。
さて、こんな調子で2位~5位を紹介していたらとても長くなってしまうので、ReadMe部門の総括に入ります。
今回のReadMeランキングで上位になった作品は、多くが「譜面の各難易度についてのコメント」を行っておりました。例えばNormal譜面のテーマは何か、Another譜面は何を意識して作ったか等の説明がなされており、とても丁寧な印象を抱きました。
また、一部の作者はPDFタイプのReadMeも同梱しており、画像表示やレイアウト強化により見栄えがさらに良くなっておりました。
↑ 相生あおはさんのreadme.pdf
レイアウトが非常に綺麗です。readmeのPDF化はスタンダードとなるか…!?
ただ、PDFタイプだとBMSプレイヤーから直接見ることができないデメリットがあるので、恐らくtxt・pdfの両方の同梱が定着するのではないかと思います。
なお、ReadMeの同梱率は50作品/69作品で72.5%でした。
もちろん、ReadMeが無いから減点!なんてルールは一切ないのですが、プレイヤーからするとReadMeが無い作品は、「作品に思い入れが無いのだろうか?」と思ってしまうので、よほど時間が無い場合以外は入れたほうが良いと思われます。
〇 BMS作者歴の分類
今回の参加者の情勢を確認するために、全参加者を独断で3つの分類に分けました。結果は以下の通りです。
(新人作家:初BMS制作 駆け出し作家:通算BMS制作数4作品以下 or 活動歴1年未満 ベテラン作家:前述のどちらにも属さない)
今回の無名戦では、69人中36人が初BMS制作デビューだった模様。そのため、今回のイベント内で最大勢力となりました。
内訳を見ると、1位のFutamiさん・3位のparaneumannさん・4位のutzboさんがTOP5入りを果たしているため、新人作家の鋭い活躍が確認できました。全くの無名であっても、強い人は毎年出てくるものだと驚かされてしまいます。
ただ、今回は下位も新人作家で固まっておりました。しかし楽曲の質で下位になったというよりは、譜面の不備・経験の差などで不本意な結果になった作品が多いように思います。それらは今後も制作を続けていれば自然と改善されていくので、この結果が全てだと思わず前向きに継続してほしい次第です。
駆け出し作家はTOP10入りが最多で、上から下まで総じて強い印象でした。直近のイベント(東方音弾遊戯9・PABAT!2020)や過去の無名戦から続いて参加されている方が多く、やはりBMS制作経験が一度でもある方々は強い気がします。次は無名戦以外のイベントでも良い結果を残せるよう、少しずつフィールドを広げていくことを目指してほしい次第です。
ベテラン作家は復帰勢が大半を占めておりました。一度離れた作家陣が新人作家として1からスタートを切るのは胸が熱い展開なので、今後も新しいキャリアを築いていけるよう応援したいです。
以上、3区分でざっくりと振り返りましたが、今回は新人組・今回で2作目になるほぼ新人組が強かったため、「新人戦」としては喜ばしい結果だったのではないでしょうか。
(DTMが初めてとは言っていない)
〇 ジャンルについて
今回の作品群で多かったジャンル一覧は以下の通りです。
一番多いのは"CORE"でした。HARDCOREとCOREで分けたのは、J-Coreやspeedcoreをカウントするためです。
2番目はトランス。音ゲートランスはやはり安定しています。3番目はBMSにおける人気ジャンルのHARDCORE。そして4位以下はバラバラでした。
今回の無名戦の特色として、なぜか創作ジャンルがとても多かったです(例:day / dream・SHIAWASE・Ambivalence)。また、難易度によってジャンル・曲が変化する曲変更差分を活用したORのような作品もあります。
そんな感じで独自色が強く、個性豊かな作品で溢れていたので面白かったです。
〇 ウェブアルバム企画
探したのですが、今のところ特に企画はされていない様子・・・?情報求ム
K4Y5さん情報によると、今年も無名戦コンピのようなものの開催が予定されているようです。詳細はご本人までご確認をお願いします!
◆ 終わりに
さて、毎年の名物である無名戦は閉幕です。
多くの新人作家が発掘され、脚光を浴びることとなりました。このイベントが1つのきっかけとして、ポジティブな結果が得られることを願っております。
また今回のイベントで注目を浴びた作家もいれば、思うような結果が出ずに苦悩する作家もいたかと思われます。
しかし、無名戦はあくまで「階級付きイベント」に過ぎず、いわば新人戦。作家のスタートラインであり、ゴールではありません。そのため今回下位となってしまった作家陣も、いくらでもブレイクのチャンスは残っています。
それを象徴する作家として、今年のA-1 10th参加者のAYhazさんが挙げられます。AYhazさんは3年前の無名戦14に参加し、68作品中68位(最下位)でした。
しかし今ではA-1 10thで39作品中9位、Mutual Faith 3(無差別級イベント)では合作でアベレージ部門優勝も達成しております。このように、無名戦の結果に囚われずに大きく羽ばたいていく作家もいるので、前向きにいきましょう。
↑ Mutual Faith 3 Ave優勝 Kaleidoscope
・・・・・・
ところで、無名戦では毎年のように新人作家の参加があったのですが、そのなかでも今年はかなり勢いがあるように感じます。平均インプレ数が95.07票と歴代最多をマークした上に、先日終了したWORLD WARでも、まさかのTOP10にutzboさん、paraneumannさん、kas_0120さんがランクインするという快挙を成し遂げました。
これは若手作家にとって、とても勇気づけられる結果となったのではないでしょうか。
引き続き、BMSシーンに新しい風が吹かれることを願います。また今大会をきっかけに、新規参入者が少しでもBMSに対して「面白い」・「興味を持った」というプラスの気持ちが芽生えたら嬉しいです。
今回の参加者69名が今後どのような道を辿っていくかは、まだわかりません。
しかし今年の顔ぶれを見る限り、今後の未来は明るいように思います。
「無名戦第17期生」、今後の栄達を切に願っております。
最後に主催・参加者・投票者・プレイヤーの皆様大変お疲れ様でした。
優勝者が主催を受け持つということで、多くの負担があったと思われますが、この制度のおかげで無名戦の毎年開催が実現しております。2010年から今年まで無事に毎年開催が続いてきたのも、主催の方々のご尽力の賜物です。改めて歴代の主催者および、今年度主催のtolzさんには厚くお礼申し上げます。
また、記事構成にはちょうど10年前のmihoclapさんの無名戦7の振り返り記事を参考にさせて頂きました。重ねてお礼申し上げます。
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2020/09/24 初稿作成(データのみ)
2020/09/27 記事完成