BMS Agency

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最近(2020年)のBMS界を気ままに追っかけます

#BOFXVI チーム考察 (8) [Chapter 2.]

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[Chapter 2.]

cap:Abel

 

Abel, BBBB, Feyrlin (Music) ZHIN, VARD (BGA), Triforce (Pattern)

 

comment:We love orchestra.

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遡ること約250年前バロック時代にオペラ舞台の伴奏としてオーケストラが誕生しました。

出典:オーケストラの歴史

 

そんな長い歴史のあるオーケストラは、現在もコンサートホールで演奏されることが多く、芸術鑑賞会と銘打たれたコンサートには幅広い年代の方々が訪れます。

 

しかしオーケストラ楽曲はBMSではあまり見ることが無く、非常にレアな存在です。

なぜなら、オーケストラとは生音が主体の音楽ジャンルであり、重厚なストリングス繊細な演奏技法・またコンサートホール特有の残響・・・などといった要素が電子音楽主体BMS形式とはすこぶる相性が悪いためです。長年BMSを制作している方からしたら、BMSでオーケストラなんてあり得ない(技術的に)と思われてもおかしくないかもしれません。

 

そんな高尚なオーケストラBMSが、3つも遊べるチームがあります。

それが・・・このChapter 2.チームです。

 

 

 

◆ 過去の戦績

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Chapter 1は昨年、突如現れた韓国作家チームです。その楽曲はオーケストラピアノソロといったコンサートホール向きの楽曲が揃い、クラブ向きのダンスミュージックが多いBMS楽曲と一線を画す方向性を打ち出しました。

昨年は韓国のエース作家・Sobremさんが個人TOP5入りを果たしたことにより、チームスコアでも10位という非常に強い結果を達成。「オーケストラBMSはすごい!」と知らしめました。

しかし、今年の後継チームであるChapter 2.チームにはSobremさんが在籍しておりません。今年はSobremさんに頼らずに、チーム全員での上位進出が目標となります。

 

それでは、今年のチームメンバーについて考察していきます。

 

◆ メンバー分析

(1)Abel

今年のChapter 2.代表であるAbelさんは初登場・・・のようですが、

・チーム登録のアイコンに「Gabriel」の文字

・昨年のChapter 1のチーム代表がGabrielさん

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この2点から、AbelさんをGabrielさんと仮定して考察を行います。

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Gabrielさんは2019年に突如韓国から現れた、謎多き新星作家です。

初参加のイベントBOFXVでは本格派オーケストラのEstellaを登録し、中央値25位の大健闘を見せました。

新人ながらも楽曲の実力は既にベテランレベル。PABAT!2020ではコンテンポラリー・クラシックに挑戦するという、オーケストラの中でもさらにレアな方向性に挑みました。

そんなGabrielさんは、新人ゆえにまだまだ知名度はありませんが、今年は「来る」と私は考えます。オーケストラ・クラシックが主な作風ですが、今回はどのようなアプローチをとってくるか、要チェックです。

 

(2)BBBB

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BBBBさんは2018年に彗星のごとく現れたオーケストラ作家です。初登場のG2R2018ではまだまだ初々しさが残る結果でしたが、昨年の無名戦16では本格派オーケストラBMSThe Viking」で一躍時の人となりました(Ave 3 / 39位)。

BBBBさんはBMS作家としてはまだ歴が浅いですが、音楽理論に深く精通していることや、それらを踏まえた詳細インプレを定期的に行う事もあって、ベテラン含む多くの作家陣から既に一目置かれた存在となっております。そして今年8月はWORLD WARにてAve 4 / 104位という目覚ましい成果を打ち立て、その影響力をさらに広げました。

WORLD WARにてより多くのプレイヤーに認知され、BOFXVIに対する助走も万全。BBBBさんもまた、今年「来る」作家の一人です。

 

(3)Feyrlin

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Feyrlinさんは韓国BMS作家であるKamisysさんの偽名です。

Kamisysさんは2012年のKorea Be-Music Script Party 2012から活動を続けているベテラン作家の一人となっております。過去にはBOF2012に参加して以来、しばらくはPABAT!専属作家として活動しておりましたがBOFU2015以降BOF常連作家として継続参戦を果たしています。
そんなKamisysさんはBMSらしいドラムンベースハウスといった定番ジャンルも過去に作っていますが、一方で壮大で重厚なオーケストラサウンドも何度か挑戦しており、BOFU2015のPathfinder(Filmscore)やPABAT!2020The Pyrokinesis(協奏曲)がそれらに該当します。

今年のPABAT!ではBGA無しで5 / 57位というとんでもない実力を発揮した技巧派作家ですが、上の歴代BOF戦績で示されている通り、BOFシリーズでは今のところブレイクには至っておりません。
しかし、過去のBOFシリーズの中央値ランキングではTOP50入りを何度か果たしているKamisysさん。その実力の高さは、既に評判となっております。チームテーマであるオーケストレーションはKamisysさんの強みの一つであるため、BOFXVIでの大ブレイクも十分にあり得ます。チーム内最古参の意地を見せるためにも、今年は勝負の年にしたいです。


 

(4)サポートメンバー

サポートメンバーは以下の通りです。

ZHIN(BGA), VARD(BGA), Triforce(Pattern)

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ZHINさんは初出なので情報がつかめませんでした。

 

VARDさんは昨年のGabrielさんのBGA内イラストを担当した方です。

ファンタジーのゲームを感じさせる可愛らしいキャラクターが特徴的なので、今年も動画師と組んでキャラものBGAが出る予感です(その動画師がZHINさん・・・?)

 

※10/18追記:Triforceさんの情報について修正しました。他の方の偽名として紹介してしまったことをお詫び申し上げます。

譜面担当のTriforceさんは韓国の差分作家の方で、発狂難易度Satellite難易度表にもいくつか表入りされている実績を持っております。

www.youtube.com

 

◆ 順位予想

最後に順位予想です。

(予想)(56.8+59.5+58.0)/3 = 58.1

(MAX)(59.7+64.9+61.7)/3 = 62.1

(MIN)(53.9+49.5+50.2)/3 = 51.2

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昨年の強豪チームだったこともあり、今年もTOP10付近に絡んでくるのではないかと考えます。

 

このチームの強みは、多くのBMS作家がうらやむような「オーケストラBMS」を作った実績を持っている、実力派集団であることです。そもそも、DTMにおけるオーケストラは音楽理論楽典などといった知識を持っていないと全く通用しないものであり、とても敷居が高いジャンルです。そんなオーケストラ楽曲を3曲も引っ提げるChapter 2.チームは、多くの作家から羨望の目を向けられることでしょう。これらの事情があって、作品の注目度は昨年同様とても高くなり、BOFXVIで埋もれる可能性は非常に低いと思います。

 

さらに、今が旬の新星作家Gabrielさん・BBBBさんが在籍しているだけでなく、長年BMSイベントで戦い続けてきたKamisysさんもいるため、「新人の勢い」と「ベテランの経験値・安定感」が共存しているのもバランスが良く、チーム単位で上位に行くための要素が揃っているように思います。

 

チームの最大の弱みはビジュアル面です。今年の作品が全て1枚絵だったBBBBさんや、

昨年のBOFXVで1枚絵かつ、今年のPABAT!2020ではBGA未定義だったKamisysさんのことを考えると、今年のBOFXVIも同様に1枚絵となる可能性が高いです・・・。

昨年のChapter 1では、BGAをしっかり用意できたSobremさん・Gabrielさんというメンバーがいたからこそ、チーム単位で高順位を獲得できました。もし今年もChapter 1のような結果を狙う場合、チームメンバーのBGA確保が望まれます。

 

また、オーケストラは打鍵感(ボタンを押したら音が鳴る演奏感)で悩みやすいのも一苦労です。もともと音ゲー向きのジャンルとは言い難く、本格派オーケストラを作ろうとすればするほど、ゲームとしてやっていて楽しいものになるか疑問となっていきます。ただ打鍵感に関しては、この手の作品を数多く作ってきたKamisysさん、最近譜面のコツをつかんできたBBBBさんといったメンバーの充実もあるため、このチームに関してはあまり譜面方向で減点される心配はないかと思います。

 

総合的に言うと、BGAさえ用意できればかなりの上位が期待できるチームだと言えます。また、もしBGAが用意できなくても中央値部門で結果を残せるのも強みです。メンバーの過去作品を見ても、大ゴケする可能性はほとんど無いかと思います。

 

果たして実力派オーケストラ楽団は、今年のBOF会場を席巻できるか・・・その芸術作品に、耳を傾けましょう。

 

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